ラダーシリーズ・レベル1の『走れメロス(Run, Melos, Run)』をご紹介します。
太宰治の最高傑作の一つである『走れメロス』。
1956年から中学の教科書に掲載されている作品です。内容は覚えていますか?
作中でメロスはとにかく走っています。暴君から民を救うため。そして、友人との約束を守るため。
日本語の勢いに圧倒される作品ですが、英語版にもスピード感が反映されていて躍動感いっぱい!
中学英語で読める英語版『走れメロス(Run, Melos, Run)』をご紹介します!
英語レベルの難易度 英検3級・TOEIC500
ラダーシリーズの『走れメロス』はレベル1で、中学レベルの英語で読むことができます。ワード数は4,700。(→ラダーシリーズ紹介記事)
単語 | ★☆☆☆☆ |
文章 | ★☆☆☆☆ |
ストーリー | ★☆☆☆☆ |
ワード数 | 4,700 |
※レベルは目安です
【単語】
単語のレベルはやさしくて中学英語で読むことができますが、一部難しい単語が出てきます。
<難易度高めの単語>
bandit(山賊)
dagger(短剣)
embrace(抱擁する)
意味のわからない単語があっても、巻末のワードリストにすべての単語の意味が載っているので、辞書なしでも読むことができます。
【文章】
文章はシンプルでストレート。日本語で内容をすでに知っていると、読みやすく感じるでしょう。
【ストーリー】
文章にスピード感があります。
メロスが体が動かなくなり葛藤する場面や最後の最後まで走り抜くシーンは、文章に力があってどんどん読むことができます。
実際の文章をみてみよう!
ここでは、実際に出てくる英文をご紹介します。3つピックアップしました。(※カッコ内の日本語訳は原作を引用しています。)
冒頭の一文
Melos was furious.
(メロスは激怒した。)
有名な冒頭部分。「メロスは激怒した。」
「怒る」は、madやangryがありますが、一口に「怒る」と言っても怒りのレベルがありますよね。
激怒した、ブチギレたと言いたい時はfuriousを使います。
めちゃくちゃ怒っているイメージです。
ブチギレている時は“I’m furious!”と言いましょう。
「メロスは激怒した」という表現は、冒頭の他にもう一度作品中に出てくるため、furiousも二度出てきます。
殺されるために走る
I am going to die this very night, Melos thought. I am running to be put on the cross. I am running to save a friend who has taken my place.
(私は、今宵、殺される。殺される為に走るのだ。身代りの友を救う為に走るのだ。)
妹の結婚式を終え、シラクスに向かって出発するメロス。
メロスの強い意志を感じる文章ですね。
put on the crossは十字架にかけるという意味です。
日本語では「殺される」という表現ですが、英語では“十字架にかけられる”という表現がされています。
put on the crossという表現は、何度か出てきます。
力尽きるメロス
I have done all that I could do, Melos thought. I never once thought of breaking my word.
(私は、これほど努力したのだ。約束を破る心は、みじんも無かった。)
ひたすら走り続けるメロスですが、川を泳いで渡り、山賊と戦い体力と精神力の限界に達し、メロスは立ち止まってしまいます。
走るどころか動くこともできません。友人との約束を果たせないと自分を責めるシーンです。
break my wordは「約束を破る」という意味です。
約束をwordで表すんですね。
一方、約束を守るはkeep my wordと言います。
このkeep my wordという表現は、メロスが王に3日後に戻ってくると約束しているシーンで使われています。
break my wordもkeep my wordも、日常表現でよく使いますよ。
break my word 約束を破る
keep my word 約束を守る
動くことができなくなり、約束を守れそうにないと精神的に肉体的に葛藤するシーンは、とてもスピード感がありますよ!
『Run, Melos, Run』の魅力!
- 海外の文学作品を読んでいるかのよう
- 日本文学を英語で楽しみたい
- 一日で一冊を読み切れるほどのスピード感
【1】海外の文学作品を読んでいるかのよう
『走れメロス』は舞台が日本ではありません。小説の最後に「古伝説と、シルレルの詩から」と記載されており、ギリシャ神話を元にしています。
メロスという名前からも推測しやすいように、主人公は日本人ではないですし他の登場人物も同様。
主な登場人物は主人公のメロス、親友のセリヌンティウス、暴君ディオニスで、舞台はシラクス。ラダーシリーズの『走れメロス』ではこのように表記されています。
メロス Melos
セリヌンティウス Selinuntius
ディオニス Dionysius
シラクス Syracuse
太宰治の作品ではありますが、英語で読むと海外作品を読んでいるような錯覚に陥ります。
この不思議な感覚を味わえるのは、英語で読むからこそ感じられるんですよね。
【2】日本文学を英語で楽しみたい
『走れメロス』は、短編で読み易い作品です。作品のファンも多いですよね。
日本文学を英語で楽しむことができるなんて、素敵だと思いませんか。
英語に躊躇してしまう人もいるかもしれませんが、『走れメロス』なら中学英語で十分楽しめるので、ぜひチャレンジしてみてください。
【3】一日で一冊を読み切れるほどのスピード感
本書は一日で読み切ることができます。
『走れメロス』はメロスがとにかく走っていますし時間に追われているため、そのスピード感が文章にも表れています。テンポよく読めるので、英語を読む楽しさを感じることができます。
多読って時に、英語で読み進めるのがツラくなったりすることってあるんですよね。
一人で黙々と読み続けるので、途中で投げ出したくなることがあるんです。
でも『走れメロス』は躍動感があるので次が気になってどんどん読み進めるめることができるため、ページをめくる手が止まりません!
英語の本を読み切ると、読了したときの感動がとても大きいんですよ。最初から分厚い小説などを選んでしまうと挫折してしまったり、中だるみが出てしまったりしますが、この本ならその心配がありません。
「一冊を読み切った!」という自信が、次への本のやる気に繋がります。
原作と読み比べする楽しさがある!
中学の教科書に載っている『走れメロス』ですが、大人になって読み返してみると、違う見方や感じ方があるかもしれません。
日本語で読んでから英語で読んでみると理解力が高まるので、読むスピードも早くなります。
場面ごとに区切りながら日本語と英語の読み比べをするのも楽しいですよ。英語でどのように表現しているのかがわかるので、単語力も表現もレベルアップできます。
電子書籍キンドルでは、日本語版を無料でダウンロードできます。
青空文庫では、ネットで無料で読むこともできますよ。
ラダーシリーズの『走れメロス』は、本当にスピード感があって読みやすい。
特にメロスがシラクスに向かう途中で体力や精神力と葛藤するシーンは、英語のテンポが良くぐいぐい引き込まれます。
何度でも読みたくなる作品です。ちなみに私は英語版を10回ほど繰り返し読みました。
多読初心者や日本文学が好きな方には、ぜひ読んで欲しい一冊です。
【NEXT STEP!】次はこの本にチャレンジ!
ラダーシリーズレベル1には日本文学を扱った作品が他にもあり、宮沢賢治の『よだかの星』、『セロ弾きのゴーシュ』と『芥川龍之介短編集』があります。
日本文学を英語で読むのは、どことなく不思議な感じがするんですよね。
多読は海外作品がメインになりがちですが、日本文学を英語で楽しめるのがラダーシリーズの魅力です。
『よだかの星』
ゆったりと読むことができます。
『よだかの星』レビュー記事
『セロ弾きのゴーシュ』
動物とのやりとりが微笑ましいです。
『セロ弾きのゴーシュ』レビュー記事
『芥川龍之介短編集』
『杜子春』、『鼻』、『藪の中』の3作品を読むことができます。
『芥川龍之介短編集』レビュー記事
どの作品も面白いですよ。
英語で日本文学を読む楽しみを味わいましょう!
それでは!
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