こんにちは!英語で人生を豊かにしているケイトです。
今回は、ラダーシリーズから出ている『The Little Prince(星の王子さま)』をご紹介します。
『星の王子さま』は、フランスのサン=テグジュペリによって書かれた小説。世界で8000万部発売されていて、世界中で人を魅了している作品です。
児童書の体裁をとっていますが、サン=テグジュペリは子どもだけでなく大人にも向けて『星の王子さま』を執筆しているんです。
そのため、大人だからこそ受け取れる深いメッセージがあったりするんですよね。
「人はなぜ孤独なのか」「絆はどうすれば築けるのか」「生きがいとは何か」など、生きる上で大切なことを問いています。
原作はフランス語。今回は、英語に翻訳されたラダーシリーズの『The Little Prince(星の王子さま)』をご紹介します。
『星の王子さま』のレベルと難易度

『星の王子さま』はラダーシリーズのレベル2で、中学英語で読むことができます。(ラダーシリーズとは?)
英語そのものは難しくありませんが、読解力が必要。何が書かれているのかを読み取る必要があります。
書かれていることが理解できないと『星の王子さま』に込められたメッセージを読み取ることができません。速読より精読に向いています。
【単語】
シンプルな単語で構成されています。
【文章】
会話文が適度に盛り込まれているので、読みやすいです。
ところどころに挿絵があるので、絵が理解力を高めてくれます。挿絵は原作と同じものが使用されていますよ。
【ストーリー】
全体的なストーリーは難しいものではありません。しかし、英文をなぞっていくだけでなく、込められたメッセージを読み取ることがカギとなります。
単語 | ★☆☆☆☆ |
文章 | ★★☆☆☆ |
ストーリー | ★★★☆☆ |
実際の文章を読んでみよう!

実際に使われている文章を見てみましょう。3つ文章をピックアップしました。名言も選んでいます!
(※日本語訳はケイトが訳しています)
1.王子さまのお願い
“If you please…draw me a sheep!”
(もしよろしければ、、、ヒツジの絵を書いてよ。)
砂漠に不時着したパイロットと王子さまが出会い、いきなり王子さまからされる突拍子もないお願いがこれ。
ただヒツジを描けばいいのかと思いきや、この後、王子さまからいろいろと文句を言われるんですよね。
“If you please”は「もしよろしければ」というような、丁寧で控えめにお願いしたいときの言い方です。
絵を描くときには“draw”を使います。“write”は使用しないので注意しましょう。
2. 「愛」とは「絆」とは
Here is my secret. It is very simple: we do not see clearly, except when we look with our hearts. The things that are most important cannot be seen with our eyes.
(僕が言ってた秘密はこれだよ。心で見ないとよく見えない。いちばん大切なことは目には見えないんだよ。)
「大切なことは目に見えないんだよ」
『星の王子さま』に出てくる名言の一つです。
地球にたどり着いた王子さまは、人間を探していました。そんな時にあるキツネに出会います。
キツネは「絆」や「愛」というものが何なのかを教えてくれます。そしてこの言葉を、最後に王子さまに伝えるんですよね。
王子さまとキツネの会話は心を掴まれますよ。
exceptは「〜を除いて」という意味です。
3. 忙しく走り回る続ける人生
“People are never happy in the place where they are,” answered the signalman.
(「人間っていうのは、自分のいるところに満足できないものなのさ」と、鉄道員の信号係は言いました。)
王子さまは、線路のポイントを切り替える鉄道の信号係と出会います。列車のことや乗客についていろいろと質問をします。
王子さまは、なぜ人間は列車に乗り、どこに向かっているのか疑問に思いました。
「理由もなく動いているんだよ」と、鉄道員は答えます。
鉄道員と王子さまの会話は短いのですが、本質が見えていない大人への皮肉が込められています。
自分は何を求めていて、どこに向かっているのか。忙しい日々の中であったとしても、立ち止まって考えたくなる鉄道員と王子さまのやりとりです。
neverは「決して〜ない」という意味。
『星の王子さま』の魅力!
大人にとっての示唆に富んでいる『星の王子さま』の魅力をお伝えします!
- 大人になる意味を考えさせられる
- 勘違いした6人の大人たちが自分を見つめ直すキッカケをくれる
- 友情、愛、絆、思いやりとは何かを見直すことができる
1. 大人になる意味を考えさせられる
本書では大人を“grown-ups”と表現しています。この単語がたくさん登場します。
冒頭から“grown-ups”は「表面的なことしか理解していない」と辛辣的。
王子さまと砂漠で出会ったパイロットは、6歳のときに画家になることを諦めました。
なぜなら自分の描いた絵が“grown-ups”に理解してもらえなかったから。いつしか“grown-ups”に迎合する生き方になっていました。
子どもだからこそ、本質を捉えていることってありますよね。でも大人になるにつれて、本質にまとわりつく余分な情報に惑わされて“何が大切なのか”を見失ってしまうことってありませんか。
“grown-ups”という単語が出てくるたびに、「大人になった今、わたしはどうだろう」と自問自答させられます。
2. 勘違いした6人の大人たちが自分を見つめ直すキッカケをくれる
王子さまは自分の星を離れて旅に出ます。6つの星を訪れて、6人の勘違いした大人に出会います。
この大人たちに気づかされることがあるんですよね。
王子様さまが出会ったのは、こんな大人たちでした。
- 権力を持つことがすべてだと思っている大人
- 称賛されることが幸せであると思い込んでいる大人
- 酒を飲む自分への嫌悪感をかき消すために酒浸りになっている大人
- 所有している星の数を大切だと思っている大人
- 愚直にルールに従っているだけの大人
- 自分の足元が見えていない大人
王子さまは6つの星を訪れて6人の大人と会話をします。大人たちと話をして最後には「変な大人だなぁ」と思いながら別の星へと旅立っていきます。
大人が出てくるたびに「みんな滑稽だなぁ」と感じる部分があると思います。でもその一方で、ちょっとドキッとすることがあるんですよね。それは、自分にも思い当たるフシがあったりするからなんです。
自分も6人の大人のように、周りから「すごい!」と思われたいと思っていないか。お金に執着しすぎていないか。常識をそのまま受け入れて、思考することをやめているんじゃないか。
登場する勘違いした大人たちの姿って、まるで「あなたのことですよ」と言われている気がするんです。
王子さまの目を通して描かれる滑稽な大人たち。自分自身を見つめ直すキッカケをくれます。
3. 友情、絆、愛、思いやりとは何かを見直すことができる
キツネから友情や絆を、バラとの関係性から愛や思いやりを学べます。
核心をついた内容がたくさん書かれていますが、抽象的に表現されていることが多いです。
だからこそ、解釈や受け取り方が読み手によって大きく変わるんですよね。
私たちは様々な人間関係の中で生活をしています。
友達や恋人との関係性に悩んだときに、王子さまが心を軽くしてくれるヒントをくれるかもしれません。
まとめ:大人への大事なメッセージがたくさん詰まっている
『星の王子さま』は、幸せになるための童話。
わたしは自分の年齢や取り巻く環境によって、本書から受け取るメッセージが変わると感じています。だから、ふとした瞬間に手にとって、何度も読み返したくなります。
人生の指南書となるような本。
そんな本を、英語で読んでみましょう。日本語で読むのと違う印象を受けるかもしれません。
『星の王子さま』は、アニメーションで映画化されています。邦題は『リトルプリンス 星の王子さまと私』。
映画のストーリーは『星の王子さま』をアニメーション化したのではなく、王子さまのその後の姿を、9歳の女の子との出会いとともに描いています。
映画はDVDと動画配信サービスのアマゾンPrime Video、Netflix、U-NEXT、dTV
で観ることができます。(2020年1月の情報です。詳しくは公式サイトをご覧ください。)
映画を観るなら、先に本を読むとより映画を楽しめますよ。
『星の王子さま』の英語版はラダーシリーズだけでなく、講談社英語文庫からも英語版が出ています。
わたしはまだ読んでいませんが、読み比べするのも楽しそうですね。
それでは!
