『窓際のトットちゃん』英語版『Totto-Chan: The Little Girl at the Window』をご紹介します。
『窓際のトットちゃん』は、黒柳徹子の小学生時代が描かれているノンフィクション作品です。
黒柳徹子が実際に通学したトモエ学園での生活を自筆で描いていて、登場人物はすべて実名。
トモエ学園の教育方法は一風変わっていて、使われなくなった電車を教室として使っていたり、リトミックを子供の発育促進のために日本で初めて採用した学校でもあります。
トットちゃんは、一般の学校での集団生活に馴染めませんでした。そんなトットちゃんが、トモエ学園では好奇心とワクワク感に満ちた毎日を送ります。
トットちゃんが伸び伸びとした生活を送れた背景には、愛と熱意を持って指導に当たったトモエ学園の小林先生の存在が大きく関わっています。そしてトットちゃんを温かく見守る両親も。
子育てとは何か、教育とは何か、を考えさせられる本でもあります。
『窓際のトットちゃん』を読んだことがあるのなら、今度は英語で楽しんでみませんか。もちろん読んだことがなくても、トットちゃんの世界を英語で楽しめる『Totto-Chan: The Little Girl at the Window』をご紹介します。
英語のレベルと難易度
段落が細かく区切られているので、テンポよく読めますよ。
【単語】
ところどころ学校では習わないような単語が出てきますが、難しくはありません。
【文章】
長文が少ないので、一文一文ゆっくりと読むことができます。
【ストーリー】
1940年代という時代を理解する必要があるので、当時の様子を思い描く想像力が必要です。
一度トットちゃんの世界観に入り込むと、ページをめくる手が止まらなくなるから不思議です。
単語 | ★★☆☆☆ |
文章 | ★☆☆☆☆ |
ストーリー | ★★☆☆☆ |
実際に出てくる表現を見てみよう!
実際に出てくる英文を見てみましょう。
(※かっこ内の日本語はブログ著者が訳したものです。原文ではありません。)
1. 窓際のトットちゃんは本当に窓にいた
“Standing up? Where?” asked Mother, surprised.
(「立ってる?どこにですか?」とお母さんは驚いて聞きました。)
“At the window,” the teacher replied crossly.
(「窓にです」と先生は不機嫌そうに答えました。)
トットちゃんは、予想外の行動ばかりします。一般の小学校に通っていたとき、トットちゃんの行動を見かねた担任教師は、母親を呼び出します。その時のやり取りです。
窓に立っていたトットちゃん。『窓際のトットちゃん』は、本当に窓にいたんですね。
be surprised は驚いた時に使います。
crosslyは「不機嫌に・すねて」という意味。
窓に立って何をやっていたのでしょうか。トットちゃんらしい理由が本には書かれています。
思わず笑顔になってしまいますよ。
2. トモエ学園の教室
For its classrooms, the school had made use of six abandoned railroad cars.
(この学校では、6つの廃車になった電車を教室として使用していました。)
トットちゃんが通ったトモエ学園は、教室が廃車になった電車でした。
電車を教室にしてしまうなんて、ユニークですよね。電車が教室だなんて聞いただけでワクワクしてしまいます。
遊びゴゴロいっぱいの学校だったんだろうなと想像できますね。
make use of 「〜を使用する、活用する」
abandon「破棄する、放棄する」
3. 栄養バランスは海の幸と山の幸
“Have you something from the ocean and something from the hills?” he asked, checking each one.
(「海の幸と山の幸は入ってる?」と聞きながら、校長先生はみんなのお弁当をみていきました。)
トモエ学園のお弁当の条件は「海の幸と山の幸をそれぞれ入れましょう」というものでした。
バランスよく食べることを目的とした校長先生が作ったルールです。
something from the ocean
「海の幸」
something from the hills
「山の幸」
トットちゃんのお母さんは、この決まりに感心して、楽しんでお弁当作りをしていたようです。
トットちゃんの魅力!
『窓際のトットちゃん』は日本で戦後に大ベストセラーとなった本です。だから面白くない訳がない!
しかも、世界35カ国で翻訳出版されているんです。
魅力はたくさんあるのですが、特に注目したいポイントはこんなところです。
- トモエ学園と小林先生
- 1940年代の日本を楽しめる
- 昔の日本の情景を英語で読む
- トットちゃんの豊かな感性
1. トモエ学園と小林先生
トモエ学園は、リトミックを採用したり電車を教室にしたりと、一般的な学校と異なります。
校長先生は創立者でもある小林宗作。小林宗作はヨーロッパに留学してリトミックを日本の教育に導入するなど、先進的な人でした。
『窓際のトットちゃん』が発行された当初は、新しい教育本として読まれた側面もあるようです。
小林先生の子どもを信じ受け入れる力には、心を動かされます。
子どもの教育に悩むことがあったら、『窓際のトットちゃん』がヒントをくれるかもしれません。
2. 1940年代の日本を楽しめる
50年以上前の日本の情景を知ることができます。たった50年という年月ですが、風景も常識も文化も今の日本とだいぶ違うんですよね。
舞台は1940年代です。今の日本とはかなり違う習慣や風景などを、ドキュメンタリーを見ているかのように楽しむことができますよ。
3. 昔の日本の情景を英語で読む
日本のことを英語で読むと、発見が多いんですよね。
「チンドン屋」や「ゴボウ」など、日本にまつわる表現が全部英語で出てきます。
ページごとに「この日本語をこんな風に表現するんだ!」と発見や学びがあります。
まさに『Totto-Chan: The Little Girl at the Window』を英語で読む醍醐味と言えます。
4. トットちゃんの豊かな感性
トットちゃんは、ちょっと変り者。
そしてトットちゃんが見ている世界は、ワクワクで埋め尽くされていてドキドキに満ちています。
本を読んでいる間、知らず知らずのうちに笑顔になっちゃうんですよね。
日本の作品を英語で読むのって面白い
『窓際のトットちゃん』は黒柳徹子のトモエ学園での生活が舞台です。
トモエ学園の小林先生は成績やお行儀の良さで、子どもを評価する人ではありませんでした。
子どもを信じ、子どもを愛する教育者でした。
私は「自分がトモエ学園に入っていたら、どんな小学校時代を過ごしていただろうか」と想像しながら読んでいました。
もっと自由奔放に過ごしたかもしれない。もっと感性を磨いていたかもしれない。
トモエ学園に通っている子どもたちがうらやましくなって調べてみたのですが、残念ながらトモエ学園はもうなくなっているんですね。
読んでいると「もし自分がトモエ学園に通っていたら…」と想像せずにはいられません。
『窓際のトットちゃん』は日本語で読んでも素晴らしい物語ですが、英語で読むと日本語とは違った視点でストーリーを楽しむことができます。
『Totto-Chan: The Little Girl at the Window』は日本語の作品を英訳しているため、慣れるまでは日本ならではの風景や光景が英語で描かれていることに違和感があるかもしれません。
私は『窓際のトットちゃん』を英語で読んでいることに、不思議な感覚を抱きながら読んでいました。ちょっとむずがゆいというか、日本語で読んだ時と受ける印象が少し違うんですよね。
日本のことを英語で説明したいときに、どんな単語や表現を使うかなどを学ぶことができたのも、『Totto-Chan: The Little Girl at the Window』を読んだメリットでした。
ページをめくるごとに新しい発見があって、読む手が止まりませんでした。
日本語で読んだことがあってもなくても、楽しめる一冊です!