ブッカー賞受賞作品である韓国作家ハン・ガン著の『The Vegetarian』をご紹介します。
『The Vegetarian』は、人間の内面と社会の暴力を鋭く描いた衝撃的な小説です。
主人公ヨンヘが菜食主義を選ぶという小さな決断から、家族との対立、心の崩壊、そして「人間であること」そのものへの疑問が浮かび上がります。
静かな文体の中に潜む狂気と美しさが読者の心を深く揺さぶります。
食べることは生きること。
では「生きること」とは・・・?
社会の常識や個人の自由について考えさせられる一冊です。
『The Vegetarian』あらすじ
ハン・ガン『菜食主義者』は、韓国の女性ヨンヘ(Yeong-hye)が、ある日突然「肉を食べない」と決意することから始まる物語です。
夢に見た残酷な映像がきっかけで、彼女は肉だけでなく動物性のものすべてを拒絶し、次第に社会との関係や自我を失っていきます。
夫や両親、兄弟は彼女の行動を理解できず、暴力や抑圧を通して「普通」に戻そうとしますが、ヨンヘはますます現実から離れ、植物のような存在へと変化していきます。
人間の暴力性、自由、そして生の意味を問いかける衝撃的な作品です。
英語の難易度 – 英検準1級・TOEIC750

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物語は3人の視点から語られます。
私は若干の読みにくさを感じました。
might notの短縮系であるmightn’tが使われていたりして(私は初めて出会いました!)、翻訳者のBeborah Smithはイギリスの方でした。
| 単語 | ★★★★☆ |
| 文章 | ★★★★☆ |
| ストーリー | ★★★★☆ |
(※レベルは目安です)
実際の文章をみてみよう!
実際に出てくる英文を見てみましょう。冒頭部分をご紹介します。
Before my wife turned vegetarian, I’d always thought of her as completely unremarkable in every way. To be frank, the first time I met her I wasn’t even attracted to her. Middling height; bobbed hair neither long nor short; jaundiced, sickly-looking skin; somewhat prominent cheekbones; her timid, sallow aspect told me all I needed to know. As she came up to the table where I was waiting, I couldn’t help but notice her shoes—the plainest black shoes imaginable. And that walk of hers—neither fast nor slow, striding nor mincing.
冒頭は旦那の独白でスタートします。
妻であるYeong-hyeを最初から“completely unremarkable in every way”と淡々と語っているところから、Yeong-hyeと旦那の夫婦関係が見えてきます。
好きだから結婚したわけではなく“悪い点がなかった”から選んだ。軽薄さに嫌悪感を抱くものの「私の周りにもそんなカップルいるな」と決して人ごとではないように感じました。
この物語は、いつ自分の周りで起きてもおかしくないという起こり得る感じが常に漂っています。
もうちょっと先を読みたい方は、Amazonで試し読みができます。
心が痛くなる場面も・・・
旦那がYeong-hyeと無理やりsexをするシーンがあるのですが、これを旦那は「従軍慰安婦のようにおかした」と独白しているんです。
これは韓国の人たちからすると、よくある表現なのでしょうかね。この単語が出てきたときになんとも言えない気持ちになりました。
ハン・ガンの作品を続けて読もう!
ハン・ガンは社会派で哲学的で心理的な作品が多いです。 読後に「静かな衝撃」が残るタイプの作家。 韓国文学の中でも特に女性の視点・身体性・沈黙の力を描く点で際立っています。
Human Acts
Greek Lessons
We Do Not Part







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